Yoyogi Jotaro の何だかよく分からないブログ

主にゲームブックについて語ります。他、北海道ネタ、ホリエモン、雑談など

ゲームブック『展覧会の絵』のレビュー…今となっては評価されることが難しい名作

『展覧会の絵』と言えば

1874年にロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーによって作曲されたピアノ組曲

Wikipediaより 

ですが、それをリスペクトして作られたゲームブックが1987年に東京創元社より出版され、2002年には創土社により復刻版が出され、2012年にはフェイスよりiPhone用アプリとしてリリースされました。

今回は創土社版を読んでみました。

f:id:oniisann:20150630143518j:plain

 そのレビューを書いてみたいと思います。 

記憶を失った主人公がそれを取り戻すための旅。

主人公は戦士や魔法使いなどの職種ではなく、吟遊詩人です。
当時RPG全盛の中で剣を使って敵を倒すものが主流であったのに対し、音楽で立ち向かうという設定は革命的であったでしょう。
基本は双方向のダンジョンを彷徨うアドベンチャーゲーム。
途中情報やアイテムを入手して記憶を失った主人公がこの世界から脱出するというのが当初のミッションで、物語の途中で語られるアイテムを集めることが必要になってきます。
でもそれは表向きの設定で最後には本当の自分の正体や目的がわかり素晴らしい感動が読者を迎えてくれるでしょう。
とても素晴らしい作品なのですが、今受け入れられるかといえば首を捻りたくなります。
謎解きやダンジョンは複雑ではないのですが、些か面倒です。
合わせて、選択肢がサイコロによって決められてしまう頻度が高すぎです。
まともにやれば運任せで物語が進む感じです。
さらにズルをしようとしても、例えば三択の中でどれがベストかすべての選択肢の先を覗いてみないことにはわからないため、ズルも大変なのです。
これは……読者にしてみればかなりの負担です。

バトルシステムについて

バトルシステムが独特で琴の奏でる旋律が特殊な効果をもたらします。そこで重要なのが回数に制限があり、使いきればゲームオーバーと言うルール。
もしくは選択肢を選びようがなくなったらゲームオーバーです。
こちらからできる戦術の数が少ないので些か不安を感じながら冒険を進めることになります。
これは多分……。まともにやると試行錯誤を繰り返さないと次に進むことができない状況が想像されますね。
筆者は途中からこのルールを無視しました。1987年の出版当初ならいざしらず、筆者も大人になり、世の中色々便利なものが出てくると、とてもまじめにこのルールを守ることは出来ませんでした。
ここも、読者への負担となっています。

冒険している最中が不安

前記のように琴を奏でる回数に制限があり、使い切るとゲームオーバーと言う緊迫感と、多くはダンジョン散策なので冒険していると不安になります。
現に「この冒険はいつになったら終わるのだろうか」と思わず主人公が吐露する場面も有ります。
重ねて、主人公の味方も沢山出てくるのですが、主人公の正体を知っていたり、いろいろな事を知っていそうなのに教えてくれなかったり、すぐに消えてしまったりと、ビジネスライクで、仲間がいるようでいて主人公はとても孤独です。
なかなかページを繰りながらつらい思いをしましたね。
でも、散策してればヒントが見つかり、多くの場合が旅の途中で出会う困っている人を助けてあげると、道標を教えてくれたり、貴重なアイテムをくれたり、助けてくれたりと言う展開になるので、こう言う部分は面白いと思います。
闘うことがメインであったRPGに一石を投じる形で当時は衝撃的であったことでしょう。
主人公は10枚の絵の世界を渡り歩くわけですが、それぞれの世界につけられた名前があることと非情に強い関連性があるのです。
そして主人公の旅の目的と、途中出会う重要人物、そして感動のラストと……。
やっている最中は辛いんですけど、クリアするとすべての謎が氷解し、苦労もひとしおで、清々しい思いでこの作品に向き返ることが出来ます。
なので、この名作は今は評価されることが難しいでしょうね。

今はシンプルが好まれる

ゲームというのはある程度参加者にストレスやハードルや関門を与え、参加者がそれを乗り越える達成感が楽しいのですが、そのバランスが崩れると、物凄く辛いものになってしまいます。
とりわけ2015年は↓こんなサイトも出来ました。

mirudakegame.com

そうです。今やゲームは見るだけでも出来るんです。
一時期ゲームはハードウェアも高機能になり、熟練したプロゲーマーじゃないと渡り合えないような物も散見されましたが、今はシンプルな方がいいんです。
そう考えると、ゲームブック『展覧会の絵』はユーザーに手間を要求しますし、(サイコロで選択が決まるため)ユーザーの自由度が非情に狭く、苦痛に感じる人が多いと思います。
この作品は1987年の作品だということを念頭に置く必要があります。
当時はスマホもネットもなければパソコンも普及していません。ゲームはアナログのものが今より断然存在感がありましたし、ユーザーもサイコロ転がすだけでも楽しめたことでしょう。
でも今となっては複雑な作業はスマホでやってくれます。このゲームブックよりはスマホのゲームアプリを選ぶユーザーが大半ではないでしょうか。
実際この作品は2012年にスマホアプリとなって登場したようですが、ゲームブックをそのままアプリに反映したのでは逆効果でしたでしょうね。
多分ズルできないですもんね。まともに選択肢をアプリ内のサイコロで決められたり、琴を奏でる回数を順守されたらクリアまで一体どれほどの時間と手間がかかることか。
今はスキマ時間を利用してゲームをする時代ですから、気楽にできる方がいいのです。

まとめ

ストーリーや世界観、主人公を含めた登場人物たちの設定やラストの展開など、非情に優れた感動モノの作品ですが、その事を理解されるには、ゲームシステムが煩雑すぎると思います。
Amazonのレビューでも、昔懐かしさを評価する一方で、難しいとか自分には合わないと評価する声もあります。
思い切ってサイコロなし、何回でも琴を演奏できる、と言うようにして、さらにダンジョン散策ももっと味気あるものに変えたら、今の時代には受けると思うのです。
つまり、どんな名作であっても旧作をそのまま復刻するだけでは受け入れられる可能性は厳しいと言わざるを得ません。大幅なリメイクが必要……だったら一から制作しなおしたほうが早いかもしれませんね。

 

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

 

 

以上、北海道からでした。

f:id:oniisann:20150503060033j:plain

さて、あなたはどうする?
GameBook.xyzへもどる→1
Googleへ行く→14