gamebookとゲームブックの違い、アメリカとイギリスと日本の状況と、新たなフォーマット「eゲームブック」
こんにちは。
さあ、選択肢を創りましょう。
ゲームブック投稿サイトの管理者です。
今回はゲームブック、それに類似している言葉について触れてみたいと思います。
これらは似たようなモンなのに実に様々な呼ばれ方をされるんですよね。
ゲームブック、CYOA、ビジュアルノベル、インタラクティブフィクション、テキストアドベンチャー……。
まるで呼び方も選択肢を選ぶかのごとし。
このエントリにたどり着いたのも何かの縁です。
ちょっと整理をしてみますので、少しお付き合いください。
目次
世界初の選択肢のある物語
選択肢を選び続ける事で展開が変わる物語、CYOAやgamebookおよびゲームブックは米英日で普及しました。
これらは各国の状況の違いで非常に面白い経緯を辿ってます。
現在記録に残るもので最古のものは「Consider The Consequences」だと言われています。
詳細は過去エントリにまとめてあるので御覧ください。
各国事情
アメリカ
先ずはアメリカで本格的な商業ベースの「選択肢を選び続けることによって展開が変わる物語」がリリースされました。
特徴は下記の通り。
- 児童、少年、少女向け
- 選択肢を選び続ける事により物語の展開が変わる
- サイコロを振ったり、RPGの要素はない
これはある会社で1970年代後半にリリースされ、今でも新作のリリースが続いています。
Choose Your Own Adventure、略してCYOA、登録商標になってます。
そのためアメリカではgamebookと呼ばれる事は稀で、選択肢を選び続ける物語のことはCYOAと呼ばれます。
イギリス
gamebook発祥の地はイギリス。
イアンリビングストン氏とスティーブジャクソン氏の2名によってリリースされた「火吹山の魔法使い」が世界的に大ヒットしました。
火吹山の魔法使い ファイティング・ファンタジー (現代教養文庫)
- 作者: スティーブ・ジャクソン,イアン・リビングストン,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 1984/12
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 7回
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こちらは当時二人が大好きだった今で言うTRPGを一人でも楽しめる様に、また世に広めるために制作されました。
スマホは元よりパソコンも普及しておらず、マイコンと呼ばれていた時代。
高価なマイコン無しにRPGが出来るとあってのめり込む人が続出。
日本でも火が付き、ゲームブックと言えば、game bookの事だと考える人も多いです。
gamebookの特徴は選択肢を選び続けて物語を読み進めるCYOA要素と、ドラクエやファイナルファンタジーの様に戦闘シーンやクエスト要素が多数盛り込まれている点です。
今でも電子書籍や同人誌などで新作がリリースされていますよ。
日本
日本ではgamebookが進化してにゃんたんのゲームブックが一つの流れとして人気でした。
にゃんたんのゲームブック (ポプラ社の小さな童話―にゃんたんシリーズ)
- 作者: 巻左千夫,岡田日出子
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1987/02
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
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特徴は
- 児童用
- 文章の代わりに漫画
- gamebookの戦闘シーンの代わりになぞなぞやクイズ、迷路と言ったトラップが仕込まれている
- バッドエンドを迎えてもスタートからではなく途中からコンテニューできる
という点です。
重ねて、当時ファミコンがヒットし、ファミコンのゲームをモチーフにしたゲームブックが多数リリースされました。
悪魔に魅せられし者 ドルアーガの塔 (幻想迷宮ゲームブック)
- 作者: 鈴木直人
- 出版社/メーカー: 幻想迷宮書店
- 発売日: 2016/03/01
- メディア: Kindle版
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アーケードやファミコンで人気のあった「ドルアーガの塔」がゲームブックとして執筆され、日本最高峰の三部作と評価が高い作品もリリースされました。
日本独自の世界観を持った「送り雛は瑠璃色の」や「展覧会の絵」、「悪夢の妖怪村」のようにTRPGとは全く別の作品や、シューティングゲームの「グラディウス」も(さらに評価がかなり高い)制作されました。
グラディウス―未知との戦い (双葉文庫―ファミコン冒険ゲームブックシリーズ)
- 作者: 吉川剛史,大出秀明,飯野文彦
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1986/08
- メディア: 文庫
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そのため日本のゲームブックはイギリスのgamebookとは大きく異なり、純粋に「選択肢を選び続けることによって展開が変わる物語」であるのに対し、イギリスはRPG要素、ダイスを使っての運要素などを色濃く持つ傾向があります。
Visual Novel
また日本発祥の形態としては何と言ってもvisual novel。
海外版ウィキペディアで項目がある程です。
また日本ではvisual novelも文字通りビジュアルノベルとサウンドノベル、ノベルゲームと言う三種類の呼ばれ方をされます。
実はほぼ同義語。
初出は現スパイクチュンソフトのサウンドノベル「かまいたちの夜」
当時マシンパワーや容量の関係で登場人物達が紫色の半透明の姿で表示されるのが、却ってインパクトがあり、読者がその世界観に浸るのに威力を発揮しました。
今まであまりアドベンチャーゲームがリリースされていなかった事もあり、当時は革新的でした。
サウンドノベルは現スパイクチュンソフトが登録商標を持っています。
そのため他社はサウンドノベルをサウンドノベルと銘打ってリリース出来ません。
なので現アクアプラスはleafレーベルで「かまいたちの夜のアダルト版を創る」感じでビジュアルノベル「雫」をリリース。
現アクアプラスはビジュアルノベルを登録商標しなかったので様々な会社がアダルトではないビジュアルノベルを続々とリリースしました。
ただビジュアルノベルと言うと当初はアダルトのイメージもあり、いつのまにかノベルゲームと言う用語も出てきます。
結果、日本ではノベルゲームが一般的で、世界的にはvisual novelで定着。
まとめるとアメリカはCYOA、イギリスはgame book、日本ではvisual novelがそれぞれ発祥の地となって居るのです。
ビジュアルノベルの特徴は下記の要素が全て盛り込まれた作品を指します。
- 文章
- 音、音楽、音声など
- 画像、イラスト、写真など
- 演出
- 選択肢を選び続ける物語
無論例外もありますが、そう言う傾向は強いですよ。
そのため、制作がゲームブックと比べると労力を強いられますね。
ゲームブックは最低限文章力とゲームデザイン力があれば制作できますが、ビジュアルノベルは音や画像にもそして演出にも力を注ぐ必要があるからです。
追記
(2018年7月6日追記)
テキストアドベンチャーとインタラクティブフィクション
上記について触れるのを忘れていました。
テキストアドベンチャーとインタラクティブフィクション(IF)は似たようなもんです。
これらとゲームブックを比較するにあたってはドラクエの生みの親、堀井雄二先生の作品、ポートピア連続殺人事件を提示します。
プレイしたことはないのに犯人は誰かを知っている人が続出したこの謎解きゲーム、フォーマットが機種によって異なるんです。
パソコン用で制作されたのがテキストアドベンチャーまたはインタラクティブフィクションと呼ばれるフォーマット。
ポートピア連続殺人事件 PC-8801(98実機) / The Portopia Serial Murder Case - 1080p 60fps
ファミコン用でリリースされたのがゲームブックです。
違いはコマンド入力式か選択肢を選ぶかです。
ファミコンで後者が採択されたのは入力媒体が十字コントローラーしかなく、文字入力が困難であること、煩わしいこと、ユーザーが若年層だった事によります。
しかしこの選択肢を選ぶ方法が後のアドベンチャーゲームでは好まれ、日本語を判別するのも難しいことから、日本では選択肢を選ぶ方式が主流となります。
またテキストアドベンチャーやインタラクティブフィクションは、現在ではチャットボットに非常によく似たフォーマットで、ゲームブックはYesNoチャートによく似ていると言えるでしょう。
それぞれに物語要素を加味すればテキストアドベンチャーやインタラクティブフィクション、ゲームブックになるのです。
まとめ
そこで筆者はeゲームブックと言うフォーマットを提案します。
このスマホ全盛期に最適化された形式ならヒットする事間違いなしですよ。
電子媒体ならではのメリットは過去記事でいろいろ触れていますのでよろしくです。
あとeゲームブックと言う名称にした理由ですが……。
- 単にゲームブックと言うと、gamebook(すなわち一人でできるTRPGの事)と混同されることが多い。
- ビジュアルノベルと言う形態がすでにあるが、制作がめちゃ大変だから
という感じです。
今後具体的に形にしていきます。
乞うご期待!!
以上、北海道からでした。