北海道でエゾシカが増えすぎて困っている件
昨日のブログで、北海道では熊が出没して極局地的に
大変なことになっていることは書きました。
ただもちろん、観光やビジネスには全く問題ございませんので
ふるって北海道には来て頂きたいと思います!
さて、出没して困っているのは熊だけではありません。
エゾシカにも困っています。
増えすぎて農作物や森林を食い尽くしているんですよ。
北海道森林管理局のサイトに寄ると
北海道ではエゾシカの増加により、農林業被害額は56億円(平成25年度)を超えるとともに、森林でも樹皮を食べられて樹木が枯れるといった悪影響が出ています。
年間56億円の被害ってかなり甚大ですよね……。
さらに、エゾシカ出没で事故が頻発しています。
でも、悪いのはエゾシカではないのですよ。
彼らも被害者なんです。
人間たちが「あること」をしたからなんですが、
それが何だか分かりますか?
勿体ぶるつもりはないのですが、端的にいうと
「狼を絶滅させたから」なんです。
筆者は中学生の頃、英語の教科書で
ある地方で人間の食料となる小動物や家畜を守るため、
狼を絶滅させた結果、鹿が増えすぎて困った、
という話を学んだのですが、まさか北海道で
同じことが発生しているとは思いもよりませんでした。
Wikipediaによると
明治に入り北海道の開拓により獲物のエゾシカが減少し、エゾオオカミは代わりに放牧されたウマを襲うようになったため、1877年に開拓使によって賞金がかけられ駆除が始まった。新冠牧場においても、オオカミによるウマへの被害が酷かったためエドウィン・ダンの提案により、1879年の夏から秋にかけてストリキニーネを用いた毒餌により駆除が実施された。
また、1879年には大雪によりエゾシカ大量死が起こり、さらにエゾオオカミは追い詰められていった。
奨励策が廃止された1888年までの間に、1,539頭(官庁に駆除されたものも含めると推定2,000-3,000頭)が駆除された。その後、1896年に函館の毛皮商の松下熊槌によってエゾオオカミの毛皮数枚が扱われたという記録を最後に確認例がない。
と、言うことで絶滅されてしまったと言っていいでしょう。
食物連鎖の上部に、狼がいたわけですが
エゾシカを捕食する者がいなくなり、増え放題となってます。
熊もエゾシカを食べないことは無いのですが、ジャンプしたり
でかくて捕まえにくいので、どちらかと言えば熊は魚とか山菜、
木の実、野菜などを好むようです。
なので熊がエゾシカを襲うことは稀です。
そのため、「再び狼を野に放とう」と言う動きもあり、
実際アメリカのイエローストーン公園で、絶滅した狼を
再度放たれる試みがなされました。その結果
生態系に調和が現れ、概ねいい傾向のようですね。
現在北海道では提案する方もいらっしゃいますが、
慎重論もあり、まだ狼を放つという動きには
至っていないようです。
代わりに話が進んでいるのが「食肉としてのエゾシカ」です。
食料としていただきましょう、と言うことなんですね。
一昔前は鹿の漁に問題があり、肉質も低かったのですけど
最近は美味しいと評判です。
筆者も食べたことがありますが、かなりイケますよ。
ぜひお食べください。
しかし、エゾシカを増やしすぎる原因を作ってしまったのは
人間です。狼が居てくれれば、自分たちも困ることがなかったのに
今となっては居てほしいと考えるなんて勝手なものです。
個人的にはイエローストーン公園の例のように
再び狼を野に放つのがいいのかな、と思います。
狼が危険だ、と言う人も勿論居ますが
現状で熊だけだって十分危険です。
狼だけが危険というのは如何なものかと。
それに狼が居ないことによる農業被害や
森林被害・事故のほうが甚大でしょう。
もとより山や自然というものは食うか食われるかの
世界であって、その世界に飛び込むなら
それ相応の準備や対策が必要になるということだと思います。
エゾシカが食肉の需要で、人間の手による捕獲で
数がコントロールできるのならいいのですが
できないのなら自然(=狼)に任せたほうが
よほどうまくいくことでしょう。
上述したように、農作物被害や事故がなくなっていない以上、
多分現状では上手く行ってないでしょうね。
以上、北海道からでした。