ゲームブックとノベルゲーム(サウンドノベル・ビジュアルノベル)は別物だけど切磋琢磨し合えるいいライバル関係かなと思う話
こんにつわ。
ゲームブック投稿サイトの管理者です。
前回に引き続き、下記の記事について思ったことを書きます。
この記事の中で
個人的な見解ですが、当時、ゲームブックにトドメを刺したのは、『弟切草』と、その続編『かまいたちの夜』なのかなと思います。
と言う記述があります。
それもあるかもしれませんね。でも考えようによって、ゲームブックとノベルゲームは互いに良い影響を及ぼしあえるいい関係になるんじゃないかなあと思います。
第一、ゲームブックが進化してノベルゲームになったとは思いません。
互いにそれぞれの歴史がある、全くの別物なんです。
目次
共通点はADV
祖先は一緒と考えても良いかもしれません。
どちらもアドベンチャーゲームです。
主人公の行動により、その後の展開が変わると言うものです。
いろいろなイベントや謎解きがあり、目的を達成したり運が良ければハッピーエンド、変な行動をしたり運が悪ければバッドエンドと言うゲーム性が盛り込まれています。
ゲームブックは文字通りゲームと紙書籍の融合です。
ノベルゲームはコンピューターゲームが進化したものです。
ここに大きな違いがあります。
ノベルゲームって
ここで簡単に触れておきたいのがノベルゲームと言う呼び名。
それ以外にもサウンドノベルとかビジュアルノベルとも呼ばれます。
まず特性として
- ノベル 小説のように文章が必要
- ゲーム ゲーム性があることが多い
- サウンド 音声・音響・BGMが必要
- ビジュアル 画像が必要
名前の示す通り、上記4要素が必要です。
ただし、ゲーム性があまり必要とされていないこともあり、それ以上に不可欠と思えるのは「演出」や「世界観」です。
読者はそれらの効果により没頭感を楽しむというのが非情に重要になっています。
あとWikipediaを読めばわかりますが、まとめると下記の通りです。
サウンドノベル:弟切草・かまいたちの夜など初めのノベルゲームを制作した現スパイク・チュンソフトの登録商標。故に他社はこの名称を使えない。
ビジュアルノベル:アクアプラスのリーフと言うブランドでリリースしたアダルト版のノベルゲームが初出。ただし登録商標しなかったので他社もそう呼ぶゲームを制作するようになり、今はアダルトとは無関係で、世界的にはこの名称が通称となっている。
ノベルゲーム:つまりサウンドノベルやビジュアルノベルの事。日本では恐らくこちらの名称が通称と思われる。
なのでこのエントリでは「ノベルゲーム」に統一します。
その歴史の一コマ
コンピュータのアドベンチャーゲームは最初はコマンド入力型だったんです。
そうです。選択肢を選ぶタイプではなかったんです。
↑こちらの作品がいい例だと思います。
こちらの作品はファミコン版では、選択肢を選び形になっています。
でも当時のパソコン版では コマンド入力型だったんですよ。
例えば「ききこみ」ってキーボードで入力するとか「ようぎしゃをよべ」とか「きょうきをあらえ」「げんばへいけ」など。
それで少しでもソフト側で想定されていないコマンドを入力すると「わかりません」て言われるんですよね。
AIを搭載してるわけでもありませんし、今の「りんなちゃん」や「Siri」や「コルタナ」さんよりずっとずっと精度が低かったんです。
なので実質リスト化されていない選択肢を入力させているようなモンだったんですね。
それに気づいたエニックスさんが「選択肢を用意しよう」となったわけ。
UI(ユーザーインターフェース)の改善が選択肢につながったと言うことです。
そういう流れの中で、スパイク・チュンソフトが「弟切草」や名作「かまいたちの夜」をリリースしてブレイクしたというのがノベルゲームです。
全くの別物
内容も、作り方も、読者の求めるところも別だと思いますね。
ノベルゲーム黎明期の作品は「かまいたちの夜」のようなホラーや、アクアプラスの「Leaf」ブランドのアダルトゲームが代表格だったため、その流れを組んでか今でもホラー者やギャルゲーのようなときめき系が多いですね。
あとは学園モノとかね。何かテーマがかなり偏っている印象です。
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何でもありですね。
ノベルゲームもゲームブック並にもっとテーマが自由で良いと思いますね。
ま、これはゲームブックは
- 演出がなくても良い
- 絵がなくても良い(挿絵程度はあったほうが良いけど)
- 音がなくても良い(ない場合がほとんど)
- 文章がなくても良い(!)※一部動画のゲームブックなどで実現可能
と言うように制約がなく自由だからやりやすいと言うのはあります。
で、前述の「ポートピア連続殺人事件」はドラクエのクリエイターとしても著名な堀井雄二先生がPC-6001版とPC-8801版はお一人で作ったんですよ。
プログラム・シナリオ・グラフィック等すべて一人で作るのは相当大変ですね。
なので現在ノベルゲームを作ろうと思ってもある程度のクオリティを求めれば、一人では到底制作できないという事は自明の理です。
その一方でゲームブックなら必要とされる制約がノベルゲームほどはないので、その意味では作りやすい環境かなとは思います。
ただもちろん、謎解き要素や迷路要素、あるいは挿絵を盛り込むなど付加価値をつけるなら一人では大変難しい事に変わりはありませんけどね。
まとめ
ということで似て非なるゲームブックとノベルゲーム。
でも互いに共通する事もありますし、参考になる点は多いと思います。
意図してないでしょうが、ノベルゲームの特徴を上手に取り込んだゲームブックがLifelineだと思います。
こちらの作品は「音楽」と「演出」 を盛り込んでいます。
主人公タイラーと擬似会話で物語を進め、場合によりタイラーとの交信が一定時間途絶えるという仕組みになっています。
しばらくすると「通知」で再開し、まるでLINEのようなSNSでタイラーと友達感覚でやりとりをしているような気持ちやリアル感に浸れます。
これは今までのゲームブックにはなかった発想ですね。
このようにゲームブックが進化する上で、ノベルゲームを始め、小説や漫画や映画などいろいろなものから影響を受けることは大事なことかなと思います。
ノベルゲームは制作ツールもかなりあり、結構盛り上がっている印象です。
ゲームブックもそれに習って盛り上がっていければなあと思います。
以上、北海道からでした。