こんにちは。
ゲームブック総合サイトの管理者です。
今回サウンドノベルというか、ノベルゲームの話題です。
言葉の定義ですが、サウンドノベルはスパイク・チュンソフトの登録商標。
一般的にはノベルゲームと呼ばれ、ほぼ同義語です。
筆者は「選択肢こそ価値がある」と考えていますので、必ずしもゲームブックじゃなくても、ノベルゲームでも面白いものは面白いと考えています。
ただノベルゲームは選択肢よりも物語性や演出などが重要視され、2択があってどちらを選んでも一緒の展開と言う作品も結構多いので2の足を踏むことはあります。
あとは制作コスト。
筆者はイラストを描けないですし、音楽やら効果音やら、場合によってはキャラクターヴォイスなども必要だったりします。
そこまでは大変なので、ゲームブックを好む傾向があります。
選択肢のコストパフォーマンスが一番いいのがゲームブック、という判断をしているだけの話。
それはさておき久々にiOS版「かまいたちの夜」をプレイしようとしたら起動しなくて、その原因も分かって、様々と思いが駆け巡りました。
その時の模様をお伝えします。
かまいたちの夜の感想
タイトル画面で驚いた
もう再現できないんですけど、プレイした当時は非常に驚きました。
迫力ありますね。リアルな風景を写真撮影し、加工を施してあるようです。
で、BGMが流れるんですよ。
このBGMが女性の「ハァーアアアア」と言うスキャットと言うかヴォカリーズみたいな歌詞のない歌声が入っているんですけど、微妙に音程をずらしているような歌唱で、音痴とかそう言う類ではなく、楽器と併せてなかなか恐怖を感じるような歌い方なんですよ。
すごい演出です。こんな怖い歌い方があるものかと関心しましたね。
何というのか、ノベルゲームとは人間の視聴覚に物語の世界観を最大限に感じさせるように小説を進化させたものと言えるのではないかと思いました。
映画とかとも違いますね。没頭感が半端無いんですよね。
ゲームを始めると主人公とその意中の女性の名前を決めることが出来ます。
RPGなどでよくあるようにプレイデータは4種類まで保存出来ます。
これによっていろいろな楽しみ方が出来ますね。
一人で試行錯誤するためにあらゆるところで保存してもいいし、仲間内でそれぞれ楽しんでもいいですね。
実行画面
画面はこんな感じで背景の上にテキストが重なり、小説を読むように上にスワイプして物語を進めます。
ところでスマホ版にはシルエットはありません。
レビューでは「かまいたちの夜といえばシルエット(人影)だ! ないのは残念!」と言う意見が続出してます。
シルエットとは、これです。
この半透明な紫色の登場人物の影絵がより物語の演出に効果を発揮していました。
なんとも言えない恐怖感がありますよね。
筆者は購入前からこのことを知って、やったことのない自分も「残念だなあ」と思っていましたが、プレイしてみるとあんまり気になりませんね。
多分シルエットが出るとスマホの小さい画面ではウザいと開発サイドで判断して取り払ったのだろうと思います。
でもノベルゲームでは演出って重要ですからユーザーがON・OFFを選べるようにできたらもっと良かったでしょうね。
個人的に好きなUI
あと、テキストは一気に表示されるんですよ。
この手のゲームにありがちな、文字が1つずつ表示されるという演出はありません。
「音楽や音響とのタイミングがズレる! 感情移入できん!」と言うようなレビューもあり、「ああなるほど。そういう意見もあるんだね」と思いましたね。
筆者はパラグラフ単位で文字が一気に表示される現状の方がやりやすいし、特に音楽や音響とのタイミング云々は動画じゃあるまいしそこまで不要と思うのですけど、ユーザーの好みで選べるようにした方が良いんじゃないかなあと思います。
物語の分岐
そして物語を読み進めていくとしばしば選択肢を迫られます。
右上に「BRANCH」と表示され、分岐があることを明示してあります。
文体も主人公が口語体で返すような感じで、この辺りも小説=ノベルと言うところが強いですね。
これはゲームブック以上に小説感が強いのではないでしょうかね。
一概にいえませんけどゲームブックは「あなた」や「君」を主人公にして「どうする?」と言う口調が多いので、言い回しの違いは興味深いですね。
また、選択肢を選んだ後でも下にスワイプすると分岐まで戻って別の選択肢を選ぶことも可能なんですよね。
「やばい」と思ったら分岐まで戻ってやり直す、と言うプレイ方法が可能ですね。
ゲームオーバーにならないかぎりは大丈夫そうですよ。
そういうインターフェースは個人的には好きですね。
ユーザーに委ねられている所が良いんです。
次々に殺人事件が発生
物語を読み進めていくと、次々に登場人物が殺されていきます。
次に殺されるのは自分かもしれない……!
そう考えると手に汗握る迫力を感じます。
さらには主人公のたゆまぬ推理に釘付けですね。
本当に文章、画像、BGM、それらを絶妙につなぎ合わせる演出でまるで映画の主人公にでもなったかのような没頭感です。
大人気になったことも頷けますね。
セーブは自動でしてくれるみたいで、筆者はプレイの合間に画面を閉じたりしましたが、まず問題なく(?)バッドエンドまで読み進めることが出来ました。
その後二度程プレイし、誰も新たに犠牲者を出すことなくハッピーエンドを迎えることが出来ました。
正直に言うと、筆者は推理力があったのではなくて、「自分でゲーム作るんならこう言う展開が面白いだろうな」と思ってあることをしたんです。
そしたらドンピシャだった。ただそれだけです。😉
ゲームクリアしたら凄いですね。
別のシナリオをプレイできるようになるんですよ。
何度か選択肢を変えて読み進めるうちに、展開がものすごく変わり、物語の深さにただただ感心するばかりでした。
犯人が結構リアルに行動をとっていて、主人公の行動が変わると犯人の行動も変えていると言うような演出があって世界観やゲーム性の高さが物凄いんです。
そのため選択肢を敢えて変えて読めばバッドエンドは迎えるんですけどどんどん真実に近づける様になっています。
アドベンチャーゲームの理想形ですね。
ゲーム性が高くて素晴らしい
筆者はノベルゲームはゲーム性より物語性重視かと思っていたのですが、この作品を読み進める限りはそんな事はないと思い直しましたね。
個人的には文字の表記やシルエットは気にならなかったので、レビュー評価は文句なく5です。
もちろん往年の「かまいたちの夜」をプレイして、その時の感動を再び味わいたいという人には残念と言うのもわかります。
難しいですね。スマホ用に最適化したと言えばそうだとも思いますし。
でも指摘したようにユーザーが選べるようにできたらより良かったでしょうね。
で、本題
……という素晴らしいiOS版の「かまいたちの夜」だったのですが、iOS11以降には非対応ということで2017年8月25日に配信終了って!
いろいろネットサーフィン(死語)して漸く分かりました。
道理でプレイできないわけだなと。
確か筆者は840円のセールのときに買ったかなと。
定価は1000円でした。
Windows版とスーファミ版
じゃあ他の媒体でできないの? とぐぐったらWindows版で似たような作品がありました。
18歳以上じゃないと駄目みたいですが、DMMで配信されています。
ダウンロード版で6,620円です。
iOS版の6.62倍の価格です。
Windows版もイラスト描き下ろしやらCV入れたりやらでかなり制作コストかかっていますけど、iOS版も制作当時はペンションまで行って写真撮影したり、BGMを作り直したりしています。
なのに6倍以上の価格差にまず驚きました。
で、スーパーファミコン版は発売当初10,800円だったようです。
バーチャルコンソール版は800円ではありますけどね。
仕方ないのかなと
確かに840円払ったのに今プレイできなくなってるとなると悲しいことには間違いありません。
でもバーチャルコンソール版が800円とはいえ、iOS版は新たにObjective-CかSwiftでコードを書き起こしているはずですし、前述したとおり写真撮影やらBGM作成やら膨大な制作コストがかかっています。
それを1000円とか840円で販売していたのですからよっぽど大量に売らないと採算取れません。
本来6,620円位で売りたかったに違いありません。
その状況下でiOSの仕様変更によってアプリを改変しなくてはならないというのは制作コストが見合わないのだろうと推測されます。
iOS版のみならず、Android版も4.3以上になると動作保証外になるそうです。
電子媒体の盲点
ちょっと話がそれますけど、電子媒体には動作保証外になるというリスクがある事は認識しておいたほうがいいですね。
筆者も今回改めて実感したのですけど。
電子媒体にはアプリ以外、電子書籍も含まれています。
電子書籍はベンダーによっては閉鎖したものもありますが、今のところは他のベンダーが吸収して、サービスを何とか継続しているというところが多いです。
でもそのサービスが継続されるとは保証はなく、今回筆者が体験したように、電子書籍フォーマットが将来読めなくなるかもしれないというリスクがあります。
紙媒体の書籍が電子書籍よりも勝る利点はそこにもあると筆者もこの件で改めて気付かされましたね。
まとめ
で、話を戻してiOS版「かまいたちの夜」、です。
大変素晴らしい作品がiOSでプレイできなくなったのは残念です。
- アップデート費用が必要であればクラファンなどで募る、という選択肢か
- 筆者もネットサーフィン(死語)するまで知らなかったので、せめて自社サイトで「お詫び、サポート終了」といった旨を表記する選択肢を
選んで欲しいなというのは筆者の意見です。
まあ、あの体験が840円だったのは格安です。
再度プレイしたくなったらバーチャルコンソール版やらWindows版を購入すればいいでしょうね。
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