ゲームブック「夏のおもいで」のレビュー。遠い昔の想い出を振り返る、再販が期待される作品。

ゲームブックレビュー

こんにちは。

あるいはこんばんは。

ゲームブック総合サイトの管理者です。

今回は外城わたるさんの「夏のおもいで」のレビューを書きたいと思います。

FT書房さんには大変珍しい、ファンタジーや戦闘と無縁のゲームブック。

ネタバレしないように頑張ります。

概要

主人公は東京在住の小学生の高学年ぐらいの年端も行かぬ少年。

夏休みに青森県は八戸市に滞在、偶然か必然か、ある出会いが訪れる。

少年はその子と一緒に夏まつりや妖怪さがしといった、他愛のないかけがえのない時間をともに過ごす。

透き通って邪気のない、世の中の全てが輝いて見えていたあの頃を振り返る物語。

でも、読者の都合で展開を変える事ができる!

文中で提示される「情報」をきめ細かくメモする以外は、サイコロを転がしたり難関な謎を解くと言ったことは不要。

さあ、あなたも童心に返り、純粋な心で読み進めましょう。

紙媒体と在庫

B5サイズの大判です。

テキストは縦書きの3段になっています。

パラグラフ数は100ということなんですけど、1パラグラフあたりの文章量が多く、1ページに渡る場合もあるので充実しています。

主人公「僕」の心理描写や、幼い頃の記憶が鮮やかに描かれているので児童文学的な印象を受けることでしょう。

媒体は紙なのでしばらくBOOTHの販売サイトでも品切れしていましたが、何気なしに5月下旬に確認したら入荷していましたので買いました。

BOOTH | お探しの商品が見つかりませんでした… (404)

で、予想通りこのエントリ執筆時点で再確認したら品切れになっていますね。

再度入荷されるかは難しいところでしょうが、再販されることを祈りましょう。

あるいは「入荷お知らせメールを受け取る」を押しておくと言う選択肢もありそうです。

夏はまだまだこれからですからね。

北海道でも夏っぽい日々が続いていますよ。

首都圏はさぞかし暑いでしょうね。

お身体ご自愛ください。

人生の宝探し

主人公は東京と比べ何もない田舎街で辟易していましたが、出会いこそ人生の宝探しだね。

やったぁ、八戸来てよかったぜと気分が高揚します。

だいたいどんな展開かお分かりでしょう。

ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)とは、物語の類型のひとつ。

直訳すると「少年、少女に出逢う」。

つまり、少年が少女と出会い恋に落ちる話。

一緒に出会った人物と過ごすだけでも尊い時間が流れます。

でも逢うは別れの始めなり。

主人公は夏休みの2週間しか八戸市に滞在できないのです。

これは困ったどうしよう。

何か想い出をつくったらいいかな。

そこで右往左往を始めるのです。

情報をあつめろ

この作品は謎解きも無いですし、ダンジョン探索と言ったこともありません。

しかし、街のありとあらゆるところを散策し、常に情報収集を行う必要があります。

Aと言う情報を入手するためには予めBと言う情報を持っていなくてはいけない、さらにその積み重ねであったりで、パラグラフ数が100とは言ってもやりこみ要素は多段にあります。

もとより主人公は冒頭から不思議な出来事に出くわすことにもなり、その謎を解明したいと思うようになっていきます。

エンディングも数種類あるようで、情報をどれだけ集められたかによりたどり着けるレベルが異なるようですね。

途中で理不尽なバッドエンドと言う展開はありませんので、その点では安心して読み進めることが可能。

この様な作りは筆者はなかなか出来ないので素晴らしいなと思います。

筆者は恐らく一番情報を集めきれなかったエンディングを迎えてしまい、別のルートを模索する旅に出直そうと思っているところです。

ベストエンドを迎えるにはまだまだ試行錯誤が必要なようですね。

八戸市

大都会東京と比べ、田舎の八戸市がいい感じで描かれているところも個人的にお気に入りでした。

筆者は青森県の青森市に住んでいたことがあり、東北の方がお祭りや花火に対して非常に強い思い入れがあることを実感していたからです。

ホームセンターで花火売場を作ろうものなら、木材にガスバーナーで焼色を入れて、よしずやすだれを利用し、ソケット電球で明かりを灯すような矢倉を組んで陳列するのですよ。

さしずめ縁日に来ているかのような錯覚をするほど力を入れるんですよ。

フツー、ゴンドラにフックがけしたり棚板に乗せるだけですよ。

青森県は青森市のねぶた祭や弘前のねぷたまつり、そして八戸市は八戸三社大祭、櫛引八幡宮秋祭、八戸七夕まつり、種差海岸観光まつりと有名なものが目白押し。

コロナさえなければ是非楽しんでもらいたいです。

物凄く盛り上がるし迫力がありますよ。

このゲームブックではその様な東北のお祭りの楽しさを追い求める一面があるのです。

都会ではなかなか味わえない「迫力」や「楽しさ」や「夢中になる」ことでしょうね。

児童用として

個人的に思うところはマーケティングがゲームブック世代に向けられて企画されているのですが、少しの工夫で子供用にもなるんじゃないかな、と言うこと。

もちろんその層に訴求するのが一番売れると思いますが、文体や作品そのものはそれこそ小学生高学年が読んでも大変楽しめる内容となっています。

B5の縦書き3段組だとちょっと少年少女が読むには敷居が高いし、振り仮名もないので学童向きでは無いんですね。

振り仮名を入れてA5版にすると子供向けとしても適しており、誕生日プレゼントとか夏休みの読書感想文はこれを読んで書きなさい、ってことにしても良いのではないでしょうか。

そうしたら訴求できる層が増えてもっと売れるかも知れないなあと思います。

あくまでも一個人の思いつきですが。

まとめ

いつもの戦闘やダンジョン散策、謎解きで疲れたときには、たまにはこのように遠い昔の透き通った想い出に浸ってみてはいかがでしょうか。

……と言いたいところなのですが、現在購入が出来ないことが一番残念なことです。

再度販売されることを祈りつつ筆を置きます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました