こんにちは。
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ゲームブック総合サイトの管理者です。
日々ゲームブックの推進の活動を行っている(つもり)ではありますが、至らない点もあるかも知れません。
その際は優しくお知らせ頂けると幸いです。
自身の成長にも重要なご意見として承りたいと考えております。
最近ではゲームブックの制作の機運が盛り上がっており、いい傾向かなと。
7月末には都会のトム&ソーヤが公開になり、それにともない同タイトルのゲームブックも広く認知される絶好の機械じゃないかなと期待しております。
またアメリカ人の「soon」は一体いつになるのかヤキモキしますが、人気のデジタルゲームブック「Lifeline」の新作がリリース予定との情報もあります。
少しずつゲームブックが広まっていく(=売買が活発化する、市場が成熟する)といいと切望しております。
本エントリではその流れからは逃れられない、現実的な「販売の非情性」について触れてみたいと思います。
想定外
筆者は販売のプロでした。
ホームセンターと呼ばれる業態で、萬の商品を販売していたのです。
実に様々なお客さんが来店されるのですが、販売店やメーカーの思惑と全く異なる商品の使い方をする人も結構いました。
このエントリ執筆時点では6月なのですが、この時期は刈払機本体や替刃が物凄く売れるのです。
替刃はカッターの刃の様に消耗品である事は多くの方に認識してもらえるものと存じます。
でもお客さんは本体も「1年限りの消耗品」として毎春購入する方が多かったんですね。
なぜでしょう?
それは、想定外の使い方をするから。
替刃は本体のエンジンの排気量によって大きく2種類の大きさがあるのです。
当時は230mmと255mmで、前者が20cc前後、後者がそれ以上のエンジン用とメーカーでは設計していました。
ところがお客さんは20ccくらいの小さいエンジンの刈払機に255mmの替刃を付けて駆使していたのです。
物理学で自明の通り、大きい替刃の方が遠心力が働き、負荷が大きくなります。
本体を酷使することになるので、来シーズンまで持つかどうかと言うリスクを背負います。
その代わり、大きいので作業的には格段と楽になります。
普通に大きいエンジンに255mmつけて利用すれば本体は長持ちするのですが、シーズンオフというものがあります。
燃料のガソリンは実は生モノなので、しばらく刈払機を使わないのであれば全て使い切って燃料タンクを空にしておかないとなりません。
その他メンテナンスなどいろいろとしてあげないと、次のシーズンでいざ使おうとしたときに動作しない事態が発生します。
で、まあ、お客さんはそのメンテナンスが面倒くさいと。
20cc程度の刈払機本体なら2万円しないので、1シーズンも使えればだいたいヨシ!と。
1シーズン毎に買い換えるなら本体価格が安い方がいいと。
それでお客さんたちの間でメーカー不推奨の230mm用の刈払機本体に255mmの替刃を付けて利用すると言うライフハックみたいなモンがノウハウとして伝達されていったのです。
そう言う使い方は、前述の通り本体に負荷がかかるので、エンジンもだいたい1シーズン前後で駄目になるのですが、メンテナンスもしないとどのもち駄目になるので、結果として上記ライフハックを選択するお客さんばかりになってました。
なので替刃は255mmばっかり売れました。
なおここまでの話は大分昔の話なので、現在は状況にかなりの変化があると思われます。
強度問題
では逆にメーカーの思惑という観点から販売を考えてみます。
首都圏より南の方にはあまり馴染みがないかも知れませんが、除雪用品は毎年売れます。
一つ買えば来シーズンも使えるだろうと思われますが、だいたい1、2シーズンで壊れます。
それは何故かって……大きな声ではいいにくいですけど、その様な強度に最適化されているからです。
買ってすぐ壊れるようでは初期不良で交換せざるを得ませんが、1シーズンくらい使った後ならそんなもんかな思うお客さんが大半です。
なぜその程度の強度にバランスが取られているかは説明の必要はないでしょうが、一応触れておきます。
強度があると1回売れたらそれっきり売れなくなるから。
技術的には強度が強いものを作ることは可能なんじゃないかと思いますが、バランスを取っていると思いますよ。
一応断っておきますと、商品によっては強度が充分なものもあります。
ポリカーボネートと言う素材の、透き通った感じのプラスチックは大変丈夫です。
まー、本体と柄のつなぎ目でポキっと折れたりする可能性がないとは言えませんが、価格の高い分だけ頑丈なのは確かです。
余談ですが、安い雪跳ねを一人で何本も購入するお客さんをたまに見かけてなぜなんだろうと不思議に思いましたが、休日車を走らせて理解しました。
雪が降り積もって見通しが悪い敷地内に、目印として雪跳ねを差して活用する様子を見かけたのです。
目印用の専用の商品は2mの長さのもので当時では1200円位でしたかねぇ。
それ以上にめったに売っていませんでした。
雪跳ねの相場は当時400円程度くらいでしたから、格安で迅速にお客さんは目的用途を満たす商品をゲット出来ていたと言う話です。
流行り廃り
まるで除雪用品メーカーが悪いみたいな論調なので、商品全般に話を移します。
今あなたが使っているスマホ、何年使っているでしょうか。
2年縛りやバッテリーの兼ね合い、新商品のリリースが気になって、数年で交換していませんか?
筆者も2014年頃からスマホを使い始めましたが、それを含め今は3台目です。
衣料品なども流行がありますよね。
だからまだまだ着れるのに買い替えたりしてませんか?
今ならメルカリを始めとするフリマアプリもありますし、面倒であれば近くのリサイクルショップで小金ゲットも可能です。
車だって10年も20年も乗れるのに、3年で車検が切れるからその度に買い換える方もいました。
パソコンも5年位、モノによっては3年で買い替えを想定しているメーカーもあります。
Windowsがこれだけ頻繁にアップデートすれば、マシンの性能がおっつかなくなり、買い替え需要へと繋がります。
住宅やマンション35年ローンなどは、買い換える代わりに人生の大半をローンで暮らすと言うビジネスモデルですよね。
そのため最近ではサブスクリプションというのがお流行りです。
需要を喚起
資本主義世界ではあらゆる商品やサービスは上記に述べたような「非情性」から逃れることが出来ません。
つまりユーザーにしてみればまだ使えるのに、読めるのに、楽しめるはずなのに、メーカー・販売側は何らかの「買い替え需要」を喚起させる必要があるのです。
それほど「売り続ける」と言うのは難しくて残酷なことなのだと身にしみて販売のプロだったものとしてはお伝えしたいのです。
たまのイベントで「売る」のと商売として「売り続ける」と言うのは全くの別物です。
「売る」だけであれば強度の高い除雪用品を作ればいいし、スマホもバッテリー交換が容易に出来るように作ればいいし、服も流行なんて気にしない風潮にすればいいし、車も車検を取ればまだまだ乗れますよ、とすればいい。
でも「売り続ける」のなら前述の通り、意図的に強度を調節してある程度破損するように作ったり、流行があるから利用しなくなるようにしてみたり、制度や更新などで環境を変えるなどして需要を生み出さないと成り立たないのです。
環境問題や資源の観点からすると矛盾とも言えますが、現状では誰も止めることは不可能かと思います。
残天
余談ですが、これが食品となると更に残酷な天使のテーゼ。
スーパーやコンビニで陳列されている食品、植物由来ではない多くのものは、かつては生きていたんです。
ネタで「当たり前だろ」と言う趣旨のツッコミが多かったこのTweetですけど、筆者は「ああ……」と絶句しましたね。
鳥、豚、牛、魚類、死にたくないのに殺されたわけですよ。
売場はそれらの死体だらけなんですよね、皆んな気づかないフリしてますけど。
そして誰かが生きているのを殺していると言うことなのですよ。
あんまり知られていないのですが。(と言うより隠されていますかね)
エヴァの庵野監督は魚肉を食べないんですよ、可愛そうだからってんで。
だからといって彼のように主食がサッポロポテトバーベキュー味ってわけにも行きません。
犠牲になった尊い命を美味しく頂くのが大切。
エヴァの破で庵野監督の影響を受けたキャラの綾波レイが肉が嫌いで料理を食べないと言う場面。
アスカ・ラングレーが「生き物は生き物食べて生きてんのよ。せっかくの命は全部漏れなく食べ尽くしなさいよ!」と言うセリフを噛み締めています。
売れ残った商品は……。
これ以上は書けません。
が、販売のためにはその矛盾を乗り越えないとやってけないことでしょう。
コンテンツ
話を戻します。
つまりコンテンツも上記に述べたような、想定外の鑑賞をされたり、流行り廃りなどがあり、良作であってもやがては埋没して行く運命を持っています。
勿論たまに振り返られて、また楽しもうと言うユーザーがいたり、注目されたりすることはあるでしょう。
しかし名作性に拘泥すると、新たな作品が市場に出回る機会を奪うと言うことになるのです。
コンテンツをユーザーが消費するには時間というものが必要で、時間は実に有限で、人間と言うものは例外なく100%死にます。
限られた中で、大量にコンテンツを消費すると言う動きを創出する必要があります。
そのために、積ん読、クリアされないゲーム、鑑賞されないBlu-ray、大して着られていない衣服、組み上げられることのないガンプラ、スタバでドヤ顔するためだけで普段は閉じたままのMacBookAirが出てきてしまったとしても、それはある意味仕方のないことなのです。
まとめ
想定通りに消化して欲しい、じっくりと読んで欲しい、ゲームならちゃんとクリアして欲しいと言うクリエイターの強い思いは勿論あることでしょう。
ただ現実を目の当たりにすると、それではマーケットが全く成熟せず、衰退の道を辿るしかないのかなと思います。
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