こんにちは。
ゲームブック投稿サイトの管理者です。
さて私が今回触れるのはこちらの作品。
「展覧会の絵」です。
『展覧会の絵』と言えば
1874年にロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーによって作曲されたピアノ組曲
Wikipediaより
ですが、それをリスペクトして作られたゲームブックが1987年に東京創元社より出版され、2002年には創土社により復刻版が出され、2012年にはフェイスよりiPhone用アプリとしてリリースされました。
残念ながらアプリ版は配信停止となりましたが、Kindle版が幻想迷宮書店さんから復活しました。
でも筆者は創土社版しか持ってないので、創土社版のを読んだレビューを書いてみます。
記憶を失った主人公がそれを取り戻すための旅。
主人公は戦士や魔法使いなどの職種ではなく、吟遊詩人です。
当時RPG全盛の中で剣を使って敵を倒すものが主流であったのに対し、音楽で立ち向かうという設定は革命的であったでしょう。
基本は双方向のダンジョンを彷徨うアドベンチャーゲーム。
途中情報やアイテムを入手して記憶を失った主人公がこの世界から脱出するというのが当初のミッションで、物語の途中で語られるアイテムを集めることが必要になってきます。
でもそれは表向きの設定で最後には本当の自分の正体や目的がわかり素晴らしい感動が読者を迎えてくれるでしょう。
謎解きやダンジョンは複雑ではないのですが、選択肢がサイコロによって決められてしまう頻度がちょっと高いような気がします。
まともにやれば運任せで物語が進む感じです。
さらにズルをしようとしても、例えば三択の中でどれがベストかすべての選択肢の先を覗いてみないことにはわからないと言う……。
これは……(パチンコとかスマホゲームとか、カイジくんとかの)ガチャ好きな方には中毒になりそうな仕様です。
バトルシステムについて
バトルシステムが独特で琴の奏でる旋律が特殊な効果をもたらします。そこで重要なのが回数に制限があり、使いきればゲームオーバーと言うルール。
もしくは選択肢を選びようがなくなったらゲームオーバーです。
こちらからできる戦術の数が少ないので些か不安を感じながら冒険を進めることになります。
これは多分……。まともにやると試行錯誤を繰り返さないと次に進むことができない状況が想像されますね。
筆者は途中からこのルールを無視しました。
以前のエントリでも触れましたが、あの、イアン・リビングストン先生も
問題ないぜぇ。5本までの指セーブは世界中で広く使われているんだぜえ。
とおっしゃってますからね。
ルールはちょっとくらい変えていいんです。
冒険道中、つらいこともあるさ
前記のように琴を奏でる回数に制限があり、使い切るとゲームオーバーと言う緊迫感と、多くはダンジョン散策なので冒険していると不安になります。
現に「この冒険はいつになったら終わるのだろうか」と思わず主人公が吐露する場面も有ります。
重ねて、主人公の味方も沢山出てくるのですが、主人公の正体を知っていたり、いろいろな事を知っていそうなのに教えてくれなかったり、すぐに消えてしまったりと、ビジネスライクで、仲間がいるようでいて主人公はとても孤独です。
なかなかページを繰りながらつらい思いをしましたね。
でも、散策してればヒントが見つかり、多くの場合が旅の途中で出会う困っている人を助けてあげると、道標を教えてくれたり、貴重なアイテムをくれたり、助けてくれたりと言う展開になるので、こう言う部分は面白いと思います。
闘うことがメインであったRPGに一石を投じる形で当時は衝撃的であったことでしょう。
主人公は10枚の絵の世界を渡り歩くわけですが、それぞれの世界につけられた名前があることと非情に強い関連性があるのです。
そして主人公の旅の目的と、途中出会う重要人物、そして感動のラストと……。
やっている最中は辛いんですけど、クリアするとすべての謎が氷解し、苦労もひとしおで、清々しい思いでこの作品に向き返ることが出来ます。
まるで人生そのもの。
辛いときも苦しいときもあります。
それを乗り越えたからこそ喜びや幸せがあるのです。
まとめ
ストーリーや世界観、主人公を含めた登場人物たちの設定やラストの展開など、非情に優れた感動モノの作品。
Amazonのレビューでも
- これに出会わなければ生涯「展覧会の絵」聴かなかったかもしれない
- これも「展覧会の絵」の編曲の一つ
- とっても懐かしい
- また出逢えてよかった
と好評でこのエントリ執筆時点で★4.2です。
懐かしいという方もいれば、初めてプレイするという方も居るでしょう。
今はKindleで400円、KindleUnlimited会員なら無料で! 出来るので是非どうぞ。
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